エネルギーの使用の合理化等に関する基本方針
平成 25 年 12 月 27 日経済産業省告示第 268 号(制定)
平成 30 年 11 月 30 日経済産業省告示第 234 号(一部改正)
燃料資源の大部分を輸入に依存せざるを得ないエネルギー事情の下にある我が国に おいては、近年の(1)
の発展に伴う生産、流通及び消費の拡大、国民のライフス タイルの変化等を背景に、エネルギーの(2)
は高い水準で推移している。しかしな がら、国際的な(3)
が逼迫するおそれは、恒常的に存在しており、また、 主としてエネルギーの使用に起因する二酸化炭素の排出等による(4)
は、人類 の生存基盤に深刻な影響を及ぼすおそれがある重大な問題となっている。
また、東日本大震災以降のエネルギー需給の状況に鑑みると、電気の需給の安定化 の観点から、需要側においても電気の需要の平準化に向けた取組が重要となっている。
この基本方針は、このような認識の下に、工場又は事務所その他の事業場(以下単 に「工場等」という。)、輸送、建築物、(5)
等に係るエネルギーの使用の合理 化及び電気の需要の平準化(以下「エネルギーの使用の合理化等」という。)を総合 的に進める見地から、必要な事項を定めるものである。当該事項の実施に当たって は、エネルギーの使用量が(6)
の発展及びエネルギーの使用の合理化の推進に依存するとともに、産業構造、(7)
、交通体系、国民のライフスタイルその他の社 会のあり方の変化によっても影響を受けることに留意するものとする。
第一 エネルギーの使用の合理化のためにエネルギーを使用する者等が講ずべき措置 に関する基本的な事項
一 工場等においてエネルギーを使用して事業を行う者が講ずべき措置
(一)工場等においてエネルギーを使用して事業を行う者は、次の各項目の実施 を通じ、設置している工場等(当該者が連鎖化事業者である場合にあっては当 該者が行う連鎖化事業の加盟者が設置している当該連鎖化事業に係る工場等を 含み、当該者が認定管理統括事業者である場合にあってはその管理関係事業者 が設置している工場等(当該管理関係事業者が連鎖化事業者である場合にあっ ては、当該者が行う連鎖化事業の加盟者が設置している当該連鎖化事業に係る 工場等を含む。)を含む。以下(一)及び第二の一において同じ。)における エネルギー消費原単位又は電気需要平準化評価原単位(電気の需要の平準化に 資する措置を評価したエネルギー消費原単位をいう。以下同じ。)の改善を図 るものとする。
1 工場等に係るエネルギーの使用の実態、エネルギーの使用の合理化に関す る取組等を把握すること。
2 工場等に係るエネルギーの使用の合理化の取組を示す方針を定め、当該取組の(8)
を整備すること。
3 エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者を中心として、(9)
総合的なエネルギー管理を実施すること。
4 エネルギーを消費する設備の設置に当たっては、(10)
が優れ、かつ、効率的な使用が可能となるものを導入すること。
5 (11)
の向上及び効率的な使用の観点から、既設の設備の更 新及び改善並びに当該既設設備に係るエネルギーの使用の(12)
等の用に供す る(13)
の導入を図ること。
6 エネルギーを消費する設備の(14)
並びに保守及び点検その他の項目に関し、(15)
を設定し、これに準拠した管理を行うこと。
7 エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者によるエネルギー管 理者及びエネルギー管理員の適確かつ十分な(16)
その他工場等全体における 総合的なエネルギー(17)
体制の充実を図ること。
8 工場等内で利用することが困難な(18)
を工場等外で有効利用す る方策について検討し、これが可能な場合にはその実現を図ること。
9 他の工場等を設置している者と連携して工場等におけるエネルギーの使用の合理化を推進することができる場合には、共同で、その連携して行うエネ ルギーの使用の合理化のための措置に取り組むこと。
(二)エネルギーの供給の事業を行う者は、(一)に掲げる各項目の実施を通じ エネルギーの(19)
における効率の向上を図るとともに、エネルギーの供給のための施設全体としての(20)
が需要の(21)
に応じて最良となるよ うな効率的な施設の運用及びエネルギーの(22)
における損失の低減を図るもの とする。
二 貨物輸送事業者が講ずべき措置 貨物輸送事業者(本邦内の各地間において発着する他人又は自らの貨物の輸送
を、業として、エネルギーを使用して行う者をいう。以下同じ。)は、次の各項 目の実施を通じ、エネルギー消費原単位又は電気需要平準化評価原単位の改善 (当該者が認定管理統括貨客輸送事業者である場合にあっては、当該認定管理統 括貨客輸送事業者及びその管理関係貨客輸送事業者の行う貨物の輸送に係るエネ ルギー消費原単位又は電気需要平準化評価原単位の改善をいう。)を図るものと する。
1 貨物輸送に係るエネルギーの使用の合理化の取組を示す方針を定め、当該 取組の推進体制を整備すること。
2 エネルギー消費効率が優れた輸送用機械器具を導入すること。
3 輸送用機械器具のエネルギーの使用の合理化に資する運転又は操縦を行う
こと。
4 エネルギー消費効率の向上の観点から、輸送能力の高い輸送用機械器具を
導入すること。
5 輸送用機械器具の効率的な活用を図る観点から、効率的な積載等を図るこ
と。
6 荷主、準荷主、他の輸送事業者その他の関係者との連携を強化するととも
に、自営転換、モーダルシフトを推進するための環境醸成等を図ること。 7 他の貨客輸送事業者と連携して貨物又は旅客の輸送に係るエネルギーの使 用の合理化を推進することができる場合には、共同で、その連携して行うエネルギーの使用の合理化のための措置に取り組むこと。
三 荷主が講ずべき措置
荷主(エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和五十四年法律第四十九 号)第百五条に規定する荷主をいう。以下同じ。)は、次の各項目の実施を通 じ、貨物輸送事業者に行わせる貨物の輸送に係るエネルギー消費原単位の改善 (当該者が認定管理統括荷主である場合にあっては、当該認定管理統括荷主及び その管理関係荷主が貨物輸送事業者に行わせる貨物の輸送に係るエネルギー消費 原単位又は電気需要平準化評価原単位の改善をいう。)を図るものとする。
1 貨物輸送事業者に行わせる貨物の輸送に関し、荷主として行うエネルギー の使用の合理化の取組を示す方針を定め、当該取組の推進体制を整備するこ と。
2 貨物輸送事業者に行わせる貨物の輸送に係るエネルギーの使用の実態、エ ネルギーの使用の合理化に関する取組等を把握すること。
3 輸送の効率化を図るため、積載率向上に資する商品荷姿の標準化、製品や 包装資材の軽量化等を図ること。
4 エネルギー消費効率の向上の観点から、輸送能力の高い輸送用機械器具を 導入すること。
5 輸送量当たりのエネルギー使用量が少ない輸送手段の効果的活用を図るこ と。
6 再配達の削減を図るため、貨物輸送事業者等と連携して、消費者による配 達予定日時や受取場所の指定を可能とすること。
7 配送効率の向上を図るため、消費者に同梱やまとめ送りを促すこと。
8 他の荷主と連携して貨物輸送事業者に行わせる貨物の輸送に係るエネルギ ーの使用の合理化を推進することができる場合には、共同で、その連携して行うエネルギーの使用の合理化のための措置に取り組むこと。
四 準荷主が講ずべき措置 準荷主(エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和五十四年法律第四十九号)第百六条第三項に規定する準荷主をいう。以下同じ。)は、三4及び5の 項目の実施による荷主のエネルギーの使用の合理化に資するよう、貨物の受取又 は引渡しを行う日時及び場所についての適切な指示に努めるものとする。
五 旅客輸送事業者が講ずべき措置 旅客輸送事業者(本邦内の各地間において発着する旅客の輸送を、業として、エネルギーを使用して行う者をいう。以下同じ。)は、次の各項目の実施を通 じ、エネルギー消費原単位又は電気需要平準化評価原単位の改善(当該者が認定 管理統括貨客輸送事業者である場合にあっては、当該認定管理統括貨客輸送事業 者及びその管理関係貨客輸送事業者の行う旅客の輸送に係るエネルギー消費原単 位又は電気需要平準化評価原単位の改善をいう。)を図るものとする。
1 旅客輸送に係るエネルギーの使用の合理化の取組を示す方針を定め、当該取組の推進体制を整備すること。
2 エネルギー消費効率が優れた輸送用機械器具を導入すること。
3 輸送用機械器具のエネルギーの使用の合理化に資する運転又は操縦を行う
こと。
4 回送運行距離を縮減するような輸送用機械器具の運用等を図ること。
5 他の貨客輸送事業者と連携して貨物又は旅客の輸送に係るエネルギーの使
用の合理化を推進することができる場合には、共同で、その連携して行うエネルギーの使用の合理化のための措置に取り組むこと。
六 旅客の輸送に関し一般の事業者が講ずべき措置
一般の事業者は、旅客輸
送分野におけるエネルギーの使用の合理化の取組を補 完するため、次の各項目の実施に努めるものとする。
1 従業員の通勤における公共交通機関の利用推進を図ること。
2 従業員の業務その他の事業活動に関する移動において公共交通機関その他
の環境負荷の小さい交通手段の利用推進を図ること。
3 集客施設にあっては、輸送事業者との連携等により来客の公共交通機関その他の環境負荷の小さい交通手段の利用を推進すること。
七 建築物の建築主等が講ずべき措置
建築物の建築をしようとする者、建築物の直接外気に接する屋根、壁又は床の 修繕又は模様替をしようとする者並びに建築物への空気調和設備等の設置又は建 築物に設けた空気調和設備等の改修をしようとする者は、当該建築物の外壁、窓 等を通しての熱の損失の防止及び当該建築物に設ける空気調和設備等に係るエネ ルギーの効率的利用を図るため、適確な建築等を行うとともに、エネルギー消費効率が優れ、かつ、効率的な使用が可能となる空気調和設備等の設置又は適切な
改修をするものとする。
八 建築物の所有者等が講ずべき措置
(一)建築物の所有者は、当該建築物の状況、投資効果等を総合的に勘案しつ つ、次の各項目を実施するものとする。
1 エネルギー消費効率の向上及び効率的な使用の観点から、エネルギーを消費する既設の設備の更新及び改善並びに当該既設設備に係るエネルギーの使用の制御等の用に供する付加設備を導入すること。
2 建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び当該建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用の観点から、当該建築物の適正 な維持保全を行うとともに、当該建築物の性能の向上を図るため、改修その 他の所要の措置についても検討すること。
(二)建築物の所有者又はその委託等を受けて当該建築物におけるエネルギーを 消費する設備の管理を行う者は、当該設備の運転並びに保守及び点検その他の 項目に関し、管理標準の設定その他の措置により適正な管理を行うよう努める とともに、テナントとの連携を含む当該建築物における(23)
の 充実を図るものとする。
九 建築物の設計者等が講ずべき措置 建築物の設計又は施工を行う者は、適確な設計又は施工を行うことを通じて、建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び建築物に設ける空気調和設備 等に係るエネルギーの効率的利用のために建築物に必要とされる性能が高い建築 物の普及に資するよう努めることとする。
十 住宅事業建築主が講ずべき措置 住宅事業建築主(住宅の建築を業として行う建築主をいう。)は、その新築する一戸建ての住宅(以下「特定住宅」という。)につき、当該住宅の外壁、窓等 を通しての熱の損失の防止及び住宅に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの 効率的利用のために当該住宅に必要とされる性能の向上を図るため、適確な建築 等を行い、エネルギー消費効率が優れ、かつ、効率的な使用が可能となる空気調 和設備等の設置をするとともに、当該性能の向上に資する特定住宅に関する技術 の開発及び導入に努めるものとする。
十一 エネルギー消費機器等の製造事業者等が講ずべき措置 (一)エネルギー消費機器等(エネルギー消費機器又は関係機器(エネルギー消費機器の部品として又は専らエネルギー消費機器とともに使用される機械器具 であって、当該エネルギー消費機器の使用に際し消費されるエネルギーの量に 影響を及ぼすものをいう。)をいう。以下同じ。)の製造の事業を行う者は、 その製造に係るエネルギー消費機器等につき、製品開発、設計、試作、量産の各段階においてエネルギー消費性能等の向上に力点を置いた事業活動を展開するとともに、需要家の実情に応じたエネルギー消費機器等の効率的な使用を可 能とする技術の開発及び導入に努めるものとする。
(二)エネルギー消費機器等の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、よりエネ ルギー消費性能等が優れ、かつ、より効率的な使用が可能となる製品の比率が 向上するよう、消費者の適正な選択に資する情報の提供その他所要の措置を講 ずるものとする。
十二 熱損失防止建築材料の製造事業者等が講ずべき措置 (一)熱損失防止建築材料(建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止の用に供される建築材料をいう。以下同じ。)の製造の事業を行う者は、その製造 に係る熱損失防止建築材料につき、製品開発、設計、試作、量産の各段階にお いて熱の損失の防止のための性能の向上に力点を置いた事業活動を展開するも のとする。
(二)熱損失防止建築材料の製造、加工、輸入又は販売の事業を行う者は、より 熱の損失の防止のための性能の優れた建築材料の比率が向上するよう、施工の 容易性の向上、建築主、設計事務所、ハウスメーカー、工務店、建築事業者等 の適正な選択に資する情報の提供その他所要の措置を講ずるものとする。
十三 エネルギー消費機器等の使用者が講ずべき措置 自動車、冷暖房機器、給湯用機器、照明機器、事務用機器その他のエネルギー消費機器等を使用する者は、その導入に当たって、エネルギー消費性能等が優 れ、かつ、効率的な使用が可能となるものを可能な限り選択するとともに、適正 な管理によるエネルギー消費機器等の性能の維持、無用なエネルギー消費の防止 等を通じ、当該エネルギー消費機器等の効率的な使用を図るものとする。
十四 事業活動を通じて一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に協力をする ことが可能な事業者が講ずべき措置事業活動を通じて一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に協力をするこ とが可能な事業者は、消費者によるエネルギーの使用の合理化の取組を促す措置 を講ずるよう努めるものとする。特に、エネルギー供給事業者、建築物の販売事 業者等、エネルギー消費機器等及び熱損失防止建築材料の小売事業者にあって は、以下の観点に留意して情報提供に努めるものとする。
(一)一般消費者に対してエネルギーの供給の事業を行う者は、消費者のエネルギーの使用の合理化に関する意識を高めるという観点から、消費者のエネルギーの使用状況の推移に関する情報提供等に努めるものとする。 (二)建築物の販売又は賃貸の事業を行う者は、消費者による建築物の外壁、窓 等を通しての熱の損失の防止及び建築物に設ける空気調和設備等に係るエネル ギーの効率的利用のために建築物に必要とされる性能の優れた建築物の選択を
より行いやすくするという観点から、自らが販売又は賃貸している建築物の当 該性能(当該建築物に用いている熱損失防止建築材料の熱の損失の防止のため の性能を含む。)の情報提供等に努めるものとする。
(三)エネルギー消費機器等の小売事業者は、消費者によるエネルギー消費性能 等の優れた機器の選択をより行いやすくするという観点から、自らが販売して いるエネルギー消費機器等のエネルギー消費性能等の情報提供等に努めるもの とする。
(四)熱損失防止建築材料の小売事業者は、最終消費者による熱の損失の防止の ための性能の優れた熱損失防止建築材料の選択をより行いやすくするという観 点から、自らが販売している熱損失防止建築材料の熱の損失の防止のための性 能の情報提供等に努めるものとする。
十五 エネルギーの使用の合理化に資する技術の開発及び普及 工場等においてエネルギーを使用して事業を行う者、貨物輸送事業者、荷主、旅客輸送事業者、建築物の設計又は施工の事業を行う者、エネルギー消費機器等 又は熱損失防止建築材料の製造の事業を行う者その他の事業者は、エネルギーを 消費する設備、輸送用機械器具等の使用方法の改善及びエネルギー消費効率の向 上に係る技術、建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び建築物に設け る空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用に係る技術その他のエネルギー の使用の合理化に資する技術の開発及び普及に努めるものとする。
十六 地域におけるエネルギーの効率的利用に資するエネルギー需給システムの導 入及び普及
我が国においてエネルギーの使用の合理化を総合的に進める上で、廃熱の有効 利用、未利用エネルギーの活用等を通じ一定地域においてエネルギーを使用する 複数の者全体としてのエネルギーの効率的利用を図ることは、大きな意義を有す るものであることを踏まえ、エネルギーを供給する者は、当該地域におけるエネ ルギー供給源の賦存状況、エネルギー需要の構造等を勘案した最適なエネルギー 需給システムの導入及び普及に努めるものとする。エネルギーを使用する者は、 かかるエネルギー需給システムの導入及び普及に対し、可能な限り協力するもの とする。
第二 電気の需要の平準化を図るために電気を使用する者等が講ずべき措置に関する 基本的な事項
一 工場等において電気を使用して事業を行う者が講ずべき措置工場等において電気を使用して事業を行う者は、電気需要平準化評価原単位を 指標として、次の各項目の実施を通じ、設置している工場等における電気の需要 の平準化に資する措置の適切かつ有効な実施を図るものとする。 1 工場等に係る電気の需要量の実態、電気の需要の平準化に資する取組等を 把握すること。
2 工場等に係る電気の需要の平準化に資する取組を示す方針を定め、エネル ギーの使用の合理化の取組と一体となる推進体制を整備すること。
3 電気の需要の平準化に資する観点から、工場等全体の総合的な電気の使用 の管理を実施すること。
4 エネルギーを消費する設備の設置に当たっては、電気の需要の平準化に資
する使用が可能となるものを導入すること。
5 電気の需要の平準化に資する観点から、自家発電設備、蓄電池等の導入を 検討すること。
6 電気の需要の平準化に資する観点から、既設の設備の更新及び改善並びに 当該既設設備に係る電気の使用の制御等の用に供する付加設備の導入を図ること。
二 電気を使用して貨物の輸送を行う貨物輸送事業者が講ずべき措置 電気を使用して貨物の輸送を行う貨物輸送事業者は、駅施設における荷役作業 の時間及び充電を要する電気を消費する輸送用機械器具の充電時間の電気需要平 準化時間帯以外の時間帯への変更等を通じ、電気の需要の平準化に資する措置の適切かつ有効な実施を図るものとする。
三 荷主が講ずべき措置
荷主は、着荷主及び電気を使用して貨物の輸送を行う貨物輸送事業者と調整 し、荷送り時間の調整、ジャスト・イン・タイムの貨物の輸送の見直し等の実施 を通じ、当該貨物輸送事業者に行わせる電気を使用した貨物の輸送に係る電気の 需要の平準化に資する措置の適切かつ有効な実施を図るものとする。
四 電気を使用して旅客の輸送を行う旅客輸送事業者が講ずべき措置
電気を使用して旅客の輸送を行う旅客輸送事業者は、駅施設等における電気の 需要の平準化に資する運転が可能な民生用機械器具の導入、充電を要する電気を 消費する輸送用機械器具の充電時間の電気需要平準化時間帯以外の時間帯への変 更等を通じ、電気の需要の平準化に資する措置の適切かつ有効な実施を図るものとする。
五 旅客の輸送に関し一般の事業者が講ずべき措置
一般の事業者は、旅客輸送分野における電気の需要の平準化に資する取組を補 完するため、従業員の時差出勤等の導入に努めるものとする。
六 建築物の建築主等が講ずべき措置
建築物の建築をしようとする者及び建築物への空気調和設備等の設置又は建築物に設けた空気調和設備等の改修をしようとする者は、電気の需要の平準化に資 する観点から、電気の需要の平準化に資する使用が可能となる空気調和設備等の設置又は適切な改修をするとともに、自家発電設備、蓄電池等の導入を検討するものとする。
七 建築物の所有者等が講ずべき措置
電気の需要の平準化に資する観点から、電気を消費する既設の設備の更新及び 改善並びに当該既設設備に係る電気の使用の制御等の用に供する付加設備を導入 すること。
八 電気を消費する機械器具の製造事業者等が講ずべき措置
(一)電気を消費する機械器具(電気の需要の平準化に資するための機能を付加することが技術的及び経済的に可能なものに限る。以下同じ。)の製造の事業 を行う者は、その製造に係る電気を消費する機械器具につき、製品開発、設 計、試作、量産の各段階において電気の需要の平準化に資する性能の向上に力 点を置いた事業活動を展開するとともに、需要家の実情に応じた電気を消費す る機械器具の電気の需要の平準化に資する使用を可能とする技術の開発及び導 入に努めるものとする。
(二)電気を消費する機械器具の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、より電 気の需要の平準化に資する性能が優れた製品の比率が向上するよう、消費者の 適正な選択に資する情報の提供その他所要の措置を講ずるものとする。
九 電気を消費する機械器具の使用者が講ずべき措置
冷暖房機器、照明機器、事務用機器その他の電気を消費する機械器具を使用する者は、その導入に当たって、電気の需要の平準化に資する性能が優れているものを可能な限り選択するものとする。
十 電気事業者が講ずべき措置
(一)電気事業者は、電気を使用する者が電気の使用状況について、必ずしも自 ら十分な情報を得ることのできるだけの技術や設備投資の能力を有していない ことを踏まえ、電気を使用する者から電気の使用状況に関する情報の開示を求 められたときは、その情報を開示するものとする。
(二)電気事業者は、電気を使用する者による電気の需要の平準化に資する取組 の効果的かつ効率的な実施を推進するため、電気の需要の平準化に資する取組 を促す電気料金その他供給条件の整備、スマートメーター等の電気使用量の推 移の情報等の提供が可能な機器の整備、電気の需給状況に関する情報等を提供 するための環境の整備等の実施に関する計画を作成し、公表するものとする。 十一 事業活動を通じて一般消費者が行う電気の需要の平準化に資する取組に協力 をすることが可能な事業者が講ずべき措置事業活動を通じて一般消費者が行う電気の需要の平準化に資する取組に協力を することが可能な事業者は、消費者による電気の需要の平準化に資する取組を促す措置を講ずるよう努めるものとする。特に、建築物の販売事業者等及び電気を 消費する機械器具の小売事業者にあっては、以下の観点に留意して情報提供に努 めるものとする。 (一)建築物の販売又は賃貸の事業を行う者は、消費者による建築物に設ける電気を消費する空気調和設備等に係る電気の需要の平準化に資する利用のために 建築物に必要とされる性能の優れた建築物の選択をより行いやすくするという 観点から、自らが販売又は賃貸している建築物の当該性能の情報提供等に努め るものとする。
(二)電気を消費する機械器具の小売事業者は、消費者による電気を消費する機 械器具の電気の需要の平準化に資するための機能の優れた機器の選択をより行いやすくするという観点から、自らが販売している機械器具の電気の需要の平 準化に資するための機能の情報提供等に努めるものとする。
第三 エネルギーの使用の合理化等の促進のための施策に関する基本的な事項 一 エネルギーを使用する者等として国及び地方公共団体自らが講ずべき事項
国及び地方公共団体は、自らエネルギーを使用し、エネルギーの供給の事業を 行い、貨物又は旅客を輸送し、又は荷主、建築物の建築主、設計者若しくは所有 者となる場合においては、率先して「第一 エネルギーの使用の合理化のために エネルギーを使用する者等が講ずべき措置に関する基本的な事項」及び「第二 電気の需要の平準化を図るために電気を使用する者等が講ずべき措置に関する基 本的な事項」に掲げる各事項(以下「特定事項」という。)を実施し、エネルギ ーの使用の合理化等に資するよう努めるものとする。
二 設備投資等に対する支援 国は、特定事項に即して行われるエネルギーの使用の合理化等に資する設備の設置その他のエネルギーの使用の合理化等に資する事業活動を支援するため、財 政上の措置等の必要な措置を講ずるよう努めるとともに、それらの措置に係る十分な情報の提供を行うものとする。
三 エネルギー管理に対する支援
国は、特定事項に即して行われるエネルギー管理 体制の充実、機械器具の効率 的な使用その他の措置の実施を支援するため、エネルギーの使用の合理化等に従 事する技術者の育成及び確保並びにエネルギーの使用の合理化等に係る技術的知 識の普及を図るものとする。
四 技術開発に対する支援 国は、特定事項に即して行われるエネルギーの使用の合理化等に資する技術の開発を支援するため、財政上の措置等の必要な措置を講ずるよう努めるととも
に、それらの措置に係る十分な情報の提供を行うものとする。
五 地域における最適エネルギー需給システムの導入及び普及に対する支援
国は、廃熱の有効利用、未利用エネルギーの活用等を通じ一定地域においてエ ネルギーを使用する複数の者全体としてのエネルギーの効率的利用を図るエネル ギー需給システムの導入及び普及を支援するため、財政上の措置等の必要な措置 を講ずるよう努めるとともに、それらの措置に係る十分な情報の提供を行うもの とする。
六 研究開発の推進等 エネルギーの使用の合理化等を進める上で、エネルギーの使用の合理化等の促進に資する科学技術の振興を図ることは、大きな意義を有するものであることを
踏まえ、国は、研究開発の推進及びその成果の普及等に努めるものとする。 七 国民に対する教育、広報等エネルギーの使用の合理化等を円滑に進めるためには、その担い手である国民 一人一人の理解と実践が不可欠であることを踏まえ、国は、教育活動、広報活動 等を通じて、エネルギーの使用の合理化等に関する国民の理解を深めるよう努め るものとする。
第四 適用期日
一 この基本方針は、平成三十年十二月一日から適用するものとする。