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1-20-0 刑法判例20-過失の共同正犯

(1) 事案(東京地判H4.1.23)

X・Yは、電話ケーブルの接続部を覆っている鉛管をトーチランプの炎により溶解開披して行う断線探索作業等の業務に従事していた。昭和59年11月16日午前11時30分ころ、X・Yは、東京都世田谷区の日本電信電話公社(現NTT)の地下から約130mの地点にある同社所有の地下洞道において、電話ケーブルの断線を探索していた。そして、別の電話ケーブル上に布製防護シートを掛け、通路上に垂らして覆い、点火したトーチランプ各1個を各自が使用し、鉛管を溶解開披する作業中、断線箇所を発見し、その修理方法等を検討するため、一時、洞道外に退出した。 その際、X・Yは布製防護シートにトーチランプの炎が接して着火し、火災が発生する危険を十分に予見することができたが、2個のトーチランプの炎が確実に消火しているか否かの確認をすることなく、トーチランプを防護シートの近接位置に放置していた。これにより、2個のトーチランプのうち、とろ火で点火されたままの状態にあった1個のトーチランプの炎が防護シート等に着火し、電話ケーブル等に延焼し、よって、電話ケーブルと洞道壁面225mを焼損させるとともに、上記公社に延焼するおそれのある状態を発生させ、もって、公共の危険を生じさせた。 なお、出火の原因となったトーチランプが、X・Yのどちらが使用したものであるかは不明であるが、そのうちのいずれかであることは明らかであった。 そこで、X・Yに業務上失火罪の共同正犯が成立しないかが争われた。



(3) 実践的書き方

第1 X・Yの罪責 1 業務上失火等罪(117条の2、116条1項、109条1項) (1)火災の発生 X・Yが使用したトーチランプの消火忘れが原因となって、本件洞道壁面という、現に人が住居に使用せずかつ現に人がいない(1)が焼損しているから、116条1項の結果が発生している。 ※作業員からすれば、洞道は他人所有物でしょう。 (2)(2)の(3)(60条) ア そこで、X・Yは共同で本件作業を行っていたことから、(4)の(5)が成立しないか。 この点、確かに(6)は(7)(8)を本質とする。しかし、(9)における(10)(11)の根拠は、(12)間の(13)・(14)関係にあることからすれば、「(15)の(16)に(17)で(18)した」という関係にあれば、(19)に違反するという(20)を(21)した(22)を認めることができると解する。 ※どうしても長くなってしまうが、できるだけ短く、網羅的に書く工夫を! イ(あてはめ)これを本件についてみると、トーチランプの消火の確認を怠ると、周囲の可燃物に延焼し、火災の発生につながることは(23)できた((24))。そして、複数人でトーチランプを使用している際には、すべてのトーチランプが消火できていなければ延焼の危険は除去できないから、作業に当たる者が現場を離れる際には、指差し確認をするなどして、相互にすべてのトーチランプの消火を確認すべき(25)があるといえる((26)の(27))。にもかかわらず、X・Yは本件現場を離れるに際し、これを怠ってすべてのトーチランプの消火を確認していないから(28)の(29)に(30)で(31)したといえる。 (3)業務上 そして、このX・Yの(32)は、作業員という(33)の(34)に基づき、(35)・(36)して(37)される(38)であるから、(39)な注意と言える。 ※117条の「業務上」の意義だけ特に覚えなくてもOK (4)以上より、X・Yに(40)の(41)が成立する。

※回答内容が保存され、問題作成者が閲覧できます