Xは昭和21年に和歌山時事新聞社を創立し、発行部数約3000の「夕刊和歌山時事」を編集発行していた。一方Aは、昭和29年ころから「特だね新聞社」を経営し、発行部数約5200の旬刊「和歌山特だね新聞」を編集発行していた。 Aの編集方針は「いわゆる特だねをできる限り書く」というものであったが、同時に「読者が低俗な興味をもってとびついて来るように、見出し等に例えば『色魔教員』『エロ工場長』などと特段の工夫をこらす」「私人の婚約、破談にからむ私的な問題であっても、社会の人々に知らせる必要性などはともかくとして、それは書かれる当人に責任があるのだからこれを取り上げる」「記事を書く前に一応の調査はするが、ともかくも先ず記事にして公表する」というものであった。そしてその結果、Aは公務員や自治会役員、教員などに関して事実と著しく相違する記事を載せ、恐喝、名誉毀損罪に処せられることとなった。 ところで、Xは以前からAの特だね新聞の以上のような在り方に対し、社会の公器たる新聞の使命にもとるものとして厳しく批判されるべきものと考えていたが、折からAがXの和歌山時事新聞社に対し、「コレが社会の公器か、お金持の走狗幇間そのままの新聞社」などと誹謗するに至つたため、A及びその特だね新聞に対する徹底的批判の記事を書くことを決意し、次の本件記事を執筆するに至つた。 すなわち、Xは、自身が発行する昭和38年2月18日付『夕刊和歌山時事』に、『吸血鬼Aの罪業』と題し、AまたはAの指示のもとに、和歌山特だね新聞の記者が和歌山市役所土木部の某課長に向かって「出すものを出せば目をつむってやるんだが、チビリくさるのでやったるんや」と聞こえよがしの捨てせりふを吐いた(甲事実)うえ、今度は上層の某主幹に向かって「しかし魚心あれば水心ということもある、どうだ、お前にも汚職の疑いがあるが、ひとつ席を変えて1杯やりながら話をつけるか」と凄んだ(乙事実)旨の記事を掲載・頒布した。 Xは名誉毀損の罪に問われたが、Xの公判において、Xは甲・乙が実際にあった事実であることの証明ができなかった。 ただし、Xの公判においては、証人Bが本件記事内容に関する情報を和歌山市役所の職員から聞き込み、これをXに提供した旨を証言している。 そこで、Xに名誉毀損罪が成立するかが争われた事案。
第1 Xの罪責 1 名誉毀損罪(230条) (1)Xは、Aの発行する新聞の記者が市役所課長に向かって「出すものを出せば…」などと暗に金品を要求したり、同主幹に向かって「しかし魚心あれば水心…」などと凄んだなどと記載している。これはAの(1)を(2)に足るものであり、また(3)を(4)してなされているから、「(5)を(6)して」「(7)を(8)した」といえる。 ※(9)を(10)した理由を詳しく書くと、すごく長くなるので、定義を端的に書きました。 (2)そしてこれは、Xの発行する新聞においてなされているから、「(11)と」されたといえる。したがって、Xには(12)が成立するのが(13)である。 2 230条の2 (1)しかし、Xのこれらの記載は、(14)の高い新聞での報道・取材に関するあり方を問うものであり、専ら(15)を図ることにあったと認められる。 (2)また、これらは、Aの恐喝ともとれる行為を(16)しているとみられることから、(17)が(18)されるに(19)人の(20)に関する(21)を(22)しているといえ、(23)の(24)に関する事実とみなされる。(230条の2第2項) (3)しかし、Xは甲・乙事実があったことを(25)できていないから、230条の2第1項、2項により(26)とすることはできない。 ※「(27)」を(28)と考えるか、(29)と考えるかは争いがあります。ここでは(30)ととらえています。 3 故意 (1)もっとも、Bは和歌山市役所の職員から聞き込み調査を行い、XはこれをBから聞き取っていることが認められる。そこで、Xに(31)の(32)が認められないのではないかが問題となる。 この点、230条の2の趣旨は、(33)の(34)の(35)と、(36)の(37)との(38)をはかる点にあることから、(39)が(40)を(41)であると(42)したことについて、(43)・(44)に照らして(45)の(46)があると認められる場合、(47)は(48)ものと解する。 (2)そこで検討すると、XはBの取材に基づき本件記事を記載しているので、(49)を(50)であると(51)したことについて、(52)・(53)に照らして(54)の(55)があると認められる。 ※事情が少ないのでこれ以上書けませんが、本当はもう少し必要なところです。 (3)以上より、本件では(56)の(57)が阻却され、Xは無罪と考える。
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