Xは、実子であるCを車に飛び込ませて示談金名目で金員を詐取したりしていた(※詐欺罪の前科は考慮しなくてよい)。その後、戸籍上3度目の妻Bを迎え、同女の連れ子であったAを養女としたが、Xの暴力が原因でBは家を出て行ってしまった。その後、Cも交通事故で死亡してしまったため、A(当時12歳)を連れて四国八十八ヶ所札所・霊場巡りの旅を続けていた。 Xは、Aが逆らう素振りを見せるたびに、Aの顔にタバコの火を押しつけたり、ドライバーでAの顔をこすったりしてAをXの意のままに従わせていた。AはXを嫌いながらも、未だ幼く頼るべき人もないことから、学校に行かせてもらえることもなく付き従っていた。 しかし、旅の途中、その宿泊費用などに窮した結果、Xは、Aを利用して巡礼先の寺などから金員を窃取しようと企て、Aに盗みを命じ、13回にわたり、現金合計約78万7750円および菓子缶等物品6点(時価合計約3210円相当)を窃取させた。 そこで、Xに窃盗罪の間接正犯が成立しないかが問題となった。
第1 Xの罪責 1 窃盗罪(235条) (1)Xは巡礼先の寺などの現金や菓子缶等という「(1)の(2)」を(3)に(4)している。そこでXに(5)が成立しないか。 (2)この点、実際に現金等の(6)をしたのはAであると認められる。しかし、これを(7)のはXであるから、AがXの(8)であるといえる場合(Aに(9)の(10)のない場合)には、Xに(11)の(12)が成立しうると解する。 これを本件についてみると、確かにAは12歳であって、一定の(13)の(14)はつき、窃盗という犯罪について理解していたものと認められる。 ※消極方向の評価事実 しかし、Aは未だ幼く頼るべき人もなく、またAが逆らうそぶりを見せるたびにXにタバコの火を押し付けられたり、ドライバーで顔をこすられたりという暴行を受けていたことから、AはXに(15)を(16)され、Xの意のままに操られていたものと認められる。このことは、Xの巡礼の旅のためAが学校に行けていないことからも認められる。 ※積極方向の評価事実 したがって、AはXの「(17)」であったといえ(Aに(18)の(19)は認められず)、Aが行った窃盗の(20)は、Xの(21)と(22)できる。 (3)そして、XはAが窃盗の実行行為に出ることを(23)・(24)していることから、窃盗の(25)も認められる。 (4)以上より、Xに13件の窃盗罪の(26)が認められ、相互に(27)(45条)の関係に立つ。
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