1-35-0 刑法判例35-自動車の一時使用と不法領得の意思
(1) 事案(最決S55.10.30)
Xは、家出して、駅の待合室などで寝泊りし、知り合った労務者から小遣い銭を貰うなどして、無為徒食の生活を送っていた。そして年の瀬も押し迫った昭和54年12月某日、午前0時ころ、広島市東雲本町所在の給油所駐車場に駐車してあったA所有の普通乗用自動車(昭和54年型日産セドリック2000cc。時価約250万円相当)を発見した。これが最新型で、たまたまエンジンキーが付いたままであったことから、少し運転してみたくなり、海岸沿いあたりまで行くつもりで乗り出した。Xは同日午前5時30分ころまでには元の場所に戻すつもりで市内を乗り回していたが、午前4時10分ころ、同市内において無免許運転により検挙された。 そこで、Xに窃盗罪が成立しないかが争われた事案。
(3) 実践的書き方
第1 Xの罪責 1 窃盗罪(235条) (1)XはA所有の本件車両という「(1)の(2)」を、他人の(3)から自己の(4)に移しているので、「(5)した」といえる。なお、本件車両は当時キー付きであったことが認められるが、施錠されていなくとも、駐車場に止めてあり、その(6)を(7)していたとは(8)から、Aの(9)にあったといえる。 ※キー付きである点を「占有」の問題として、一言触れておきました(弁護人は、推定的承諾の問題として争っていました)。 また、かかる行為についてのXの(10)も認められる。 (2)もっとも、(11)の成立には、①(12)を(13)して、(14)の(15)を(16)の(17)として、②その(18)に従い(19)する(20)((21)の(22))の存在が必要である。 これを本件についてみると、確かにXは本件車両を朝までにはもとの位置に戻す意図であったことが認められ、(23)Aの(24)を(25)する(26)がなかったとも思える。しかし、本件車両は高価なものであって、また自動車は(27)が高いから、(28)でも、(29)の下から移動させることは、①(30)が認められる。また、本件では4時間乗り回しており、(31)とも言い難い。そして、海岸沿いまで運転することは、②(32)があると言える。 ※①、②、とネーミングして、答案を短くしました。 (3)以上より、Xには本件車両について(33)が成立する。
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