1-04-0 刑法判例4-被害者の同意
1 被害者の同意
(1) 事案(最決S55.11.13)
X1は、X2~X4と共謀し、保険金詐欺を企て、故意にX1運転の自動車をX2運転の自動車に追突させた。そして、これがX1の過失による事故であるかのように装い、かつ、X2の傷害は軽微であったにも関わらず、これが重大であったかのように装って、長期間の入院加療を受け、X2は入院給付金等の保険金を詐取した。(なお、この事故は、なるべく本物の事故に見せかけるため、両車の間に無関係の第三者Vの運転する車両も絡んだ玉突き事故の態様で発生しており、Vも負傷して被害者とされている。) この事故により、昭和47年5月31日、X1は業務上過失傷害で有罪(禁錮8月、執行猶予3年)とされた。 しかしその後詐欺の事実が明らかになり、昭和54年1月16日、X1~X4は詐欺罪で有罪とされた。 そこで、X1は、本件事故発生当時、X2~X4の同意があったから業務上過失傷害罪は成立しない、と主張して再審請求をしたという事案。
(3) 実践的書き方
1 傷害罪の構成要件該当性 ※業務上過失傷害ではなく、傷害罪(故意犯)の筋 X1は本件事故によってX2という「人の身体」を負傷させているので、(1)を(2)しているといえ、「(3)した」と言える(204条)。 ※事実関係が明らかでないので、(4)を(5)したとあてはめるのが困難ですが、一応定義を押さえていることを示しました。 また、X1は、本件事故で入院給付金等の保険金をX2に受け取らせる目的を持っているので、X2の(6)を(7)することについて(8)・(9)していたと認められ、傷害罪の(10)も認められる。 2 違法性阻却事由 (1)もっとも、X2が本件事故において傷害を受けることは、X2も(11)していた。そこで、X1の(12)の(13)が(14)されないかが問題となる。 (2)この点、被害者の(15)な(16)があったとしても、(17)に照らして(18)でなければ、(19)は(20)されないと解する。なぜなら、刑法の目的は、(21)のみならず(22)の(23)をも含むからである。 ※本件判例は、諸般の事情を考慮すると述べているので、諸般の事情を挙げてもよいです。実際には、社会的相当性が問題になっているので、端的にそこだけ抽出しました。 本件では、X2の同意は、入院給付金等の保険金を詐取するためになされたものであるから、(24)に照らして(25)とは言えない。したがって、X1の行為の(26)が(27)されることはない。 (3)以上より、X1に傷害罪が成立する。
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