コラージュ療法の概要
芸術療法の一種で、主に視覚的な表現を通じて自己理解や感情の整理を促進する手法
雑誌や写真、布、紙などの素材を使って、個々のテーマや感情を表現するコラージュ作品を作成
コラージュ療法の成り立ちは、西洋と日本では大きく異なる
デュシャンの「レディ・メイド」に象徴されるように、
既製品を芸術作品として提示する行為が芸術の領域を拡張し、
後のコラージュ表現にも影響を与えた
「ありふれたものからすばらしいものへの変容」が生じる
この「ありふれたものからすばらしいものへの変容」こそが、コラージュの特徴
コラージュの制作には、(1)、(2)、
(3)といった行為が伴い、それが創作活動における主体性や選択の自由を表現する手段
一見無造作に見えるが、その背後には作者の意図や物語が存在する
「ありふれたもの」が持つ隠れた意味を見出し、
再構成する過程は、創造性だけでなく、自己理解や他者理解にもつながる
日本では、(4)があってこそ、コラージュ療法が生まれた
日本コラージュ療法学会発起人代表の森谷(2012)
箱庭を利用できない環境でも、箱庭をもっとコンパクトに持ち運んで利用できないか
「箱庭療法の本質とは、立体のコラージュに違いない」と考えた
治療的意義
1. 他の表現技法に比べて、コラージュ療法は実施が簡便で、なおかつ適応の幅が広い
実施が簡便であるがゆえ、安全性の確認・確保を怠らないよう、気をつける
2. 夢に似た心像過程を比較手に安全に体験することができ、
その生成されていくプロセスを、セラピストが直接「関与しながら観察」できる
3. 手順などが構造化された技法を用いることによって、
接近の難しい精神病水準の方との関係作りが円滑になりやすい
4. クライエントの抱えている問題が具体的に表現されて、
主題化されやすいため、セラピストもその理解をしやすい
5. クライエントのかなり深い内的表現が盛り込まれていても、切り貼り絵としておさめることができる
コラージュ療法の方法
手順
①雑誌などから「(5)イメージや言葉」を選ぶ
②好きな形に切り抜く
③集める
④台紙の上で構成を考える
⑤糊で貼り付ける
オプション
1. 言葉を書き込む
2. 好きな絵を描き、付け加える
3. ストーリーを作る
心惹かれるイメージ
「何となく心惹かれる」イメージを集める
できるだけ素直になって心を開き、自分の気持ちに触れるイメージを集める
セラピストはクライエントがそれを探し出せるように環境を整え、援助
セラピストとクライエントの間に信頼関係、ラポールを形成することが必要
コラージュ制作では、(6)が容易にできる
自分を表現したくない時には、
適当に当たり障りのないイメージの切り抜きを貼って、
その場をしのぎ、自分を守る
制作における準備
準備物:台紙、糊、ハサミ、切り抜き用の雑誌やパンフレット
素材の集め方
基本的には、クライエントの心の成長を助けるためのイメージを集める
森谷(2012)がリストアップした切り抜き素材の内容
1. 発達課題にふさわしいイメージ
幼児期、児童期、思春期など、それぞれの年代にふさわしいもの
2. 喜怒哀楽など心の内実を表現可能にするもの
3. 何か心の癒しにつながるもの
うつ状態の心に希望を与えるもの、イライラした心にはゆとりを与えるもの
4. 新しい可能性を示唆するもの、
人物を貼らない人には人物を、
人物ばかりを貼る人には景色や食べ物などそれ以外のもの、
その人が避けているものなどを強制でない形で入れる
5. 相手が何を気に入るか不明であるので、できるだけ幅広い分野から集める
人物、動物、植物、食べ物、衣服、家、自然、景色、小道具、乗り物など
6. 大きな切り抜き(クローズアップ)も小さな切り抜きも必要
7. 意味がないと思えるものも時には必要
8. しかし、全部揃えようとしなくても可能
9. 切り抜き方はラフな形で(余白を残したままで)
🚨素材を集めるときの注意点
著作権や肖像権の問題があることは念頭に置いておいたほうがいい
一般的なありきたりのイメージを使うことで、十分にコラージュを制作することはできる
制作中のセラピストの態度
クライエントが自由に安心して自分の心に向き合って、
表現したいことを表現できるような雰囲気を作るように心がける
コラージュ制作後について
制作が終わったら、作品について感想を聞く
制作中にどんなことを考えたか、思うように表現できたか、困ったことはなかったかなどについて聞いてみる
→セラピストが解釈に関係するようなことを言うのは避けたほうがいい
※回答内容が保存され、問題作成者が閲覧できます
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