大問1 説明的文章
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
私たちは、何かを知りたいと思ったとき、すぐに答えを探そうとする。辞書を引いたり、インターネットで検索したり、詳しい人に聞いたりする。もちろん、こうした方法はとても便利である。しかし、「答えを知ること」と「本当に理解すること」は、必ずしも同じではない。
たとえば、ある植物の名前を知りたいとする。図鑑を調べて、「これは○○という植物です」と分かったとしても、それだけではその植物について十分に理解したとはいえない。その植物がどこに生えているのか、どのような季節に花を咲かせるのか、なぜそのような形をしているのか――。こうしたことを調べていくうちに、最初は一つだった疑問が、次々と新しい疑問へとつながっていく。
実は、この「疑問が増える」ということが、学ぶうえで重要なのである。
学校では、正しい答えを出すことが求められる場面が多い。テストでは、問題に対して一つの答えを書く。しかし、学ぶということをテストの正解だけに限定してしまうと、少し不思議なことが起こる。最初は「なぜだろう」と思っていたことでも、答えを知った瞬間に、それ以上考えなくなってしまうのである。
もちろん、正しい答えを知ることは大切だ。答えを知らなければ、そこから考えを深めることもできない。大切なのは、答えを「終点」にしないことである。答えを出発点として、さらに「なぜ」「どうして」「ほかの場合はどうなのか」と問い直してみる。その繰り返しによって、知識は単なる情報ではなく、自分自身の考え方へと変わっていく。
また、疑問を持つためには、すぐに結論を出さないことも必要である。
私たちは、分からないものを見ると、早く意味を決めたくなる。たとえば、友達がいつもより静かだったとき、「今日は機嫌が悪いのだろう」と考えるかもしれない。しかし、実際には体調が悪かったのかもしれないし、何か心配なことがあったのかもしれない。自分が最初に考えた理由だけで判断してしまえば、別の可能性に気づくことができない。
だからこそ、「まだ分からない」と思えることには価値がある。分からない状態は、不安定で落ち着かない。しかし、その状態を少しの間保つことで、私たちは一つの見方に縛られず、物事をさまざまな角度から見ることができる。
学ぶことは、答えを集めることだけではない。むしろ、一つの答えから新しい問いを生み出すことなのではないだろうか。そう考えると、「分からない」という状態は、学びの失敗ではなく、次の一歩が始まる場所だといえる。
問一 漢字
次の傍線部の漢字の読みを、ひらがなで答えなさい。
① 植物の季節による変化を調べる。 ② 新しい疑問が生まれた。 ③ 一つの考えに限定してはいけない。 ④ さまざまな可能性を考える。
問二 語句
本文中の「終点」と最も近い意味で使われている言葉を、次から一つ選びなさい。
ア 始まり イ 途中 ウ 最後 エ 目的
問三 内容理解
本文によると、「答えを知ること」と「本当に理解すること」が同じではないのはなぜですか。
本文中の内容に即して、30字以内で答えなさい。
問四 抜き出し
「答えを『終点』にしない」とは、具体的にはどのようなことですか。
本文中から20字以内で抜き出しなさい。
問五 理由説明
筆者が「疑問が増える」ということを重要だと考えているのはなぜですか。
最も適切なものを一つ選びなさい。
ア 疑問が増えるほど、知識を暗記しやすくなるから。 イ 一つの答えからさらに考えを深めることができるから。 ウ 疑問を増やすことで、テストの問題が簡単になるから。 エ 分からないことをそのままにしておくことができるから。
問六 具体例
友達がいつもより静かだったときについて、筆者はなぜ「今日は機嫌が悪いのだろう」とすぐに判断してはいけないと考えていますか。
40字以内で答えなさい。
問七 指示語
「その状態を少しの間保つことで」とありますが、「その状態」とはどのような状態ですか。
本文中の言葉を使って答えなさい。
問八 文章の構成
本文では、前半で「答えを出発点にすること」の大切さを述べ、後半では別の例を挙げています。
後半の例を挙げた目的として最も適切なものを選びなさい。
ア 学習だけでなく、日常生活でも一つの考えに決めつけないことが重要だと示すため。 イ 友達との関係が勉強より大切だと説明するため。 ウ 人の気持ちは正確には理解できないことを証明するため。 エ 学校のテストには正しい答えがないことを示すため。
問九 記述
本文の内容を踏まえて、筆者が考える「学ぶこと」とはどのようなことですか。
50字以内で説明しなさい。
問十 自分の考え
本文では、「分からない」という状態には価値があると述べています。
あなたはこの考えについてどう思いますか。 本文の内容に触れながら、80~100字程度で自分の考えを書きなさい。
</li> <li>次の傍線部のカタカナを「漢字」に直しなさい。(各2点・計8点)
</li> <li>次の慣用句の空欄に入る身体の部位の名称として最も適切なものを一つ選びなさい。(各2点・計4点)
</li> <li>次の文中の( ア )~( ウ )に入る適切な語句を答えなさい。(各3点・計10点)
日本語の単語は自立語と付属語に大別される。活用があり単独で主語になれる品詞を( ア )と呼び、活用がなく主に修飾語となる単語のうち、体言を修飾するものを( イ )という。また、自立語に付属して意味を添えたり関係を示したりする単語のうち、活用のあるものを( ウ )という。
昔、竹取の翁といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事に使ひけり。名をば、さぬきの造となむいひける。その竹の中に、筋立ちて光る竹なむ一筋ありける。怪しがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いと美しうてゐたり。 (『竹取物語』より)
</li> <li>翁が竹に寄りて見たとき、筒の中にいたのはどのような人物でしたか。「大きさ」と「姿」を含めて20字以内で説明しなさい。(15点)
人工知能(AI)の急速な発達により、知識の検索や定型的な情報の処理能力においては、人間がコンピュータに及ばない場面が増えている。しかし、そうした時代だからこそ、人間特有の「課題を発見する力」や「他者に共感する心」の価値が高まっている。
AIは提示されたデータに基づいて最適解を算出することは得意だが、①「何が本当の問題であるのか」を自ら問い立てることはできない。問いを設定するのは、常に人間の役割である。また、倫理的な判断や、相手の心情に深く配慮した対話も、感情を持たないAIには限界がある。
これからの社会を生きる私たちに必要なのは、単に知識を暗記することではなく、得られた情報を深く吟味し、自分自身の言葉で思考を構築する能力である。②このような力を磨くことこそが、テクノロジーと共生しながら自立した個人として社会に貢献する道なのである。
ア:AIの発達により、人間は知識の暗記に専念することが最も重要となった。
イ:AIは感情や倫理的判断に優れているため、人間の思考を完全に代替できる。
ウ:人間の価値は、AIにはできない問いの設定や共感性、主体的な思考力にある。
エ:コンピュータの処理能力を向上させることが、今後の教育の第一目標である。
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