1-31-0 刑法判例31-住居侵入罪における集合住宅の共用部分

(1) 事案(最判H21.11.30)

平成16年12月23日午後2時20分ころ、Xは、日本共産党葛飾区議団だより、及び同区議団作成の区民アンケート、返信用封筒等の4種のビラ(以下「本件ビラ」という。)を本件のマンションの各住戸に配布するために、マンションの玄関出入口を開けて玄関ホールに入った。さらに玄関内東側ドアを開け、1階廊下を経て、エレベーターに乗って7階に上がり、各住戸のドアポストに、本件ビラを投かんしながら7階から3階までの各階廊下と外階段を通って3階に至ったが、そこで住人に声をかけられて、本件ビラの投かんを中止した。 本件マンションは、東京都葛飾区亀有所在の地上7階、地下1階建ての鉄筋コンクリート造りの分譲マンションであり、1階部分は4戸の店舗・事務所として、2階以上は40戸の住宅として分譲されている。1階の店舗・事務所部分への出入口と2階以上の住宅部分への出入口とは完全に区分されている。 住宅部分への出入口である玄関出入口から本件マンションに入ると、玄関ホールがあり、そこには掲示板・集合ポスト・管理人室の窓口がある。掲示板には、よく目立つ位置に、A4判大の白地の紙に本件マンションの管理組合名義で「チラシ・パンフレット等広告の投函は固く禁じます。」と記載されたはり紙がある。また、B4判大の黄色地の紙に同名義で「当マンションの敷地内に立入り、パンフレットの投函、物品販売などを行うことは厳禁です」「集金などのために訪問先が特定している業者の方は、必ず管理人室で『入退館記録簿』に記帳の上、入館(退館)願います。」と記載されたはり紙が貼付されていた。また、本件マンションの管理組合理事会は、チラシ等の配布のための立入りに関し、葛飾区の公報以外の集合ポストへの投かんを禁止する旨決定していた。 ただし、本件マンションはオートロック方式を採用しておらず、外階段により2階以上への出入りが可能な状況であった。また、管理員が管理人室に常駐しておらず、管理員は水曜日と土曜日は午前8時から正午までの間、水曜日以外の平日は午前8時から午後5時まで、玄関ホールを通行する者を監視していたにとどまる。 そこで、Xに住居侵入罪が成立するかが争われた事案。





3 実践的書き方

第1 Xの罪責 1 130条前段 ※「住居」かどうか、ハッキリしないときは、住居侵入罪と書かなくてもよいです。 (1)(1)もしくは(2) ※「起臥」の字を忘れてもなんとかする。 Xは、本件建物の共用部分に立ち入っているが、ここが同条前段の(3)もしくは(4)といえるか。 本件建物の(5)部分は、人が(6)する場所なので、「(7)」にあたる。そして、共用部分は、住戸部分に通常(8)して(9)(10)(11)となるものだから、「(12)」に含まれると解する。 (2)侵入、及び故意 (13)(14)に対する罪であると解されるから、同条の侵入とは、(15)(16)(17)立ち入ることをいう。そこで検討すると、本件マンションの管理組合は、チラシ等の配布に関し、(18)として(19)を認めない決定をしており、玄関ホールの掲示板には、よく見える(20)でその旨の表示をしている。 したがって、Xによる本件立ち入りは(21)たる管理組合の(22)(23)といえ、「(24)」にあたる。また、本件マンションがオートロック等を採用していなくても当該掲示がある以上、Xが当該行為をするにあたって、(25)(26)があると(27)していたとは認められず、(28)も認められる。 ※掲示板の話が出たので、他の要件も一緒に書きました。(反対利益も考慮) (3)(29)(30) なお、Xは政治的な(31)の行使のため本件ビラを配布していると認められるが、本件で問題となっているのは(32)であるから、これが(33)(34)に反する以上、(35)(36)は認められない。 (4)以上より、Xに(37)が成立する。 ※130条前段の罪が成立する、でも構いません。



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