Xは、前刑出所後いわゆるホームレス生活をし、置き引きで金を得るなどしていた。平成15年9月某日の午後5時40分ころ、Xは大阪府内の私鉄駅近くの公園のベンチに座っていたが、隣のベンチでAが自身のポシェット(以下「本件ポシェット」という。)をベンチ上に置いたまま友人Bと話し込んでいるのを見掛け、もし置き忘れたら持ち去ろうと考えて、本を読むふりをしながら様子をうかがっていた。 Aは、午後6時20分ころ、本件ポシェットをベンチ上に置き忘れたまま、Bを駅の改札口まで送るため、Bと共にその場を離れた。Xは、Aらが離れたら本件ポシェットを取ろうと思って注視していたところ、Aらは、置き忘れに全く気付かないまま、駅の方向に向かって歩いていき、公園出口にある横断歩道橋を上り、上記ベンチから約27mの距離にあるその階段踊り場まで行った。そこでXは、自身の周りに人もいなかったことから、今だと思って本件ポシェットを取り上げ、それを持ってその場を離れ、公園内の公衆トイレ内に入り、本件ポシェットを開けて中から現金を抜き取った。Aは、上記歩道橋を渡り、約200m離れた私鉄駅の改札口付近まで2分ほど歩いたところで、本件ポシェットを置き忘れたことに気付き、上記ベンチの所まで走って戻ったものの、既に本件ポシェットは無くなっていた。 午後6時24分ころ、Aを追って公園に戻ってきたBが、機転を利かせて自身の携帯電話で本件ポシェットの中にあるはずのAの携帯電話に架電したため、トイレ内で携帯電話が鳴り始めた。Xは、慌ててトイレから出たが、Aに問い詰められて犯行を認め、通報により駆けつけた警察官に引き渡された。 そこで、Xに窃盗罪が成立するか、遺失物等横領にとどまるかが争われた事案。
第1 Xの罪責 1 窃盗罪(235条) (1)本件ポシェットは(1)を有しているので、同条の「(2)の(3)」にあたる。もっとも、Xが本件ポシェットの(4)を(5)のもとに移転させたとき(以下「(6)」という。)、Aはこれを置き忘れて約27m先まで離れていることから、Aが依然として本件ポシェットに対する(7)を有していたのかが問題となる。 (2)この点、窃盗罪における(8)の有無は、(9)の(10)と(11)の(12)の(13)によって決すべきである。 そこで検討すると、確かにAは本件ポシェットの(14)を(15)して離れているが、その約2分後には気づいてベンチのところまで戻っているから、(16)の(17)を(18)のは(19)かつ(20)である。 また、本件ポシェットは小さく、持ち運びも容易であって、かつ、公園のベンチは自宅と異なり(21)が高く、(22)は失われやすい。しかし、本件ポシェットは現金や携帯という(23)を在中しており、Aにとってもともと(24)に置いていたものと認められる。また、Xの(25)において、Aは約27m離れた歩道橋上の踊り場という比較的近い距離におり、またベンチから離れて2分程度しかたっていない。したがって、当初の(26)((27)の(28))が失われるほどの事情はなく、Aは本件ポシェットを(29)していたといえる。 ※最初にあった支配が強いから、それが失われるのは時間がかかる、ということを言っています(私見)。 以上より、Xによる本件ポシェットの(30)行為は同条の「(31)」にあたる。 (3)そしてXに(32)・(33)の(34)も認められるから、Xに本件ポシェットに対する(35)が成立する。なお、現金・携帯は(36)の(37)であるが、ポシェットと同時に(38)行為がなされているので、(39)して(40)の(41)を構成する。 ※罪数処理
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