1-09-0 刑法判例9-法定的符合説(故意の個数)

1 法定的符合説(故意の個数)

(1) 事案(最判S53.7.28)

Xは、ゲリラ闘争を展開して革命を起こすため警察官から拳銃を奪うことを企て、建設用びょう打銃を改造した手製装薬銃1丁を所持して、警ら中の巡査Aを尾行し、東京都新宿区西新宿附近の歩道上に至った。たまたま周囲に人影が見えなくなったとみて、Aを殺害するかも知れないことを認識かつ認容し、びょうを装てんした手製装薬銃1丁をAの背後約1メートルの距離から、Aの右肩部付近をねらい、びょう1本を発射させた。 しかし、これによってはAに右側胸部貫通銃創を負わせたにとどまり、Aのけん銃を強取することはできなかった。 さらに、Aの身体を貫通したびょうは、たまたまAの約30メートル右前方の道路反対側の歩道上を通行中のBの背部に命中し、Bに腹部貫通銃創を負わせた(XはBの存在を認識していなかった)。 そこで、Xに、Aに対する強盗殺人未遂罪のみならず、Bに対する強盗殺人未遂罪が成立するかが争われた事案。





(3) 実践的書き方

1 Aに対する強盗殺人未遂罪(236条1項、240条後段、243条) …(客観的構成要件の検討→あたる、故意の検討→有、成立) 2 Bに対する強盗殺人未遂罪の成否 (1)Xは、本件においてBについては、そもそもその(1)(2)していない。そこで、Bに対する(3)が認められるかが問題となる。 ※前段でAについて検討しているので、ここでは問題になる点から検討しました。 (2)この点、そもそも(4)(5)は、(6)(7)しつつあえて(8)を行うという(9)(10)に対する(11)である。そして、その(12)(13)によって(14)されているから(15)(16)(17)(18)が一致していれば、(19)を問いうる。そして、(20)(21)「人」という形で(22)されているから(23)(24)を観念することはできない。 ※ここは、判例・通説がかなり固まっているので、相当端的な記述をしても大丈夫でしょう。 (3)(あてはめ)Xは、(25)「人」であるAに対し、強盗殺人の(26)を有しているのであるから、(27)「人」であるBに対しても、強盗殺人の(28)を認めることができる。 (4)次に、Bに対しても強盗殺人未遂の(29)があるか問題となるが(※もう一つの論点です。)、240条は強盗の機会に人が殺傷されることが少なくないので、これを(30)処罰する趣旨であるから、(31)は強盗の(32)になされれば足り、(33)(34)としてなされることを(35)と解する。 そして、XがAに対して行った強盗殺人の機会にBが負傷していることから、Bに対して強盗殺人未遂の罪責を負う。 ※客観面も肯定 3 以上より、XはBに対しても強盗殺人未遂の罪責を負い、Aに対する強盗殺人未遂罪と(36)(54条1項前段)となる。

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