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1-23-0 刑法判例23-共犯と錯誤

(1) 事案(最決S54.4.13)

昭和45年9月24日午後9時ころ、神戸市兵庫区所在のスタンド・バー(いわゆるぼったくりバー)に対し、巡査Aが同店の裏口から風俗営業に関する立ち入り調査を行った。これに対し、山口組系暴力団X組の組長Xは、憤慨して「盗っ人みたいに汚ないことするな。表から堂々と入らんかい」などと毒づき、さらにAが福原派出所に引き上げた後も、同派出所前路上に押しかけ、Aの上記調査を大声でなじるなどした。 その後、Xは一旦は引き上げたが、なお気がおさまらなかったため、組員Yに招集をかけるなどし、Xら6名とYは順次、Aに対し暴行ないし傷害を加える旨共謀し、午後10時ころ、福原派出所前において、Xら6名とYはこもごもAに対し挑戦的な罵声・怒声を浴びせた。これに応答したAの言動に激昂したYは、未必の殺意をもって所携のくり小刀(刃体の長さ約12.7cm)を腰に構え、右小刀の刃を上向きに持ち替え、Aの下腹部を1回突き刺し、Aを下腹部刺創に基づく総腸骨動脈等切損により失血死させた。 そこで、Xら6名に、殺人罪の共同正犯が成立しないかが争われた。



(4) 実践的書き方

第1 Yの罪責 1 殺人罪(199条) (1)…(客観的構成要件について検討→肯定) (2)…(故意について検討→肯定) (3)…(小括:Yは殺人罪) 第2 Xの罪責 1 共同正犯 (1)共同実行 Xは(1)にはAを(2)していないが、加害を(3)した組員であるYがAを殺害しており、共犯者の一部によって殺人罪の(4)があったといえる。 (2)共謀 しかし、XとYはあくまでもAに暴行ないし傷害を加える限度での(5)があったにとどまるものだから、XにはA殺害の(6)が認められない。したがってXには、Yの(7)と重なり合う(8)の(9)で(10)が成立しうるにとどまる。 (3)正犯意思 そして、暴行ないし傷害の範囲においては、Xは主導的にAの勤務する派出所に押しかけるなどしており、(11)が認められる。 第3 結論 以上より、Yには(12)が成立し、Xには(13)が成立し、互いに重なりあう範囲で(14)の関係に立つ。 ※第1Y、第2X、ときて、第3で結論、は少しおかしいのですが…

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