紙のテストをオンライン化するメリットと注意点
授業で使ってきた小テストをオンライン化すると、問題の配布方法だけでなく、採点結果の返し方や授業への活かし方も変わります。 ここでは、教育評価に関する公的資料・研究と、テストメーカーの機能を踏まえて、導入を検討するときの観点を整理します。
採点結果を次の指導に活用する
文部科学省の「全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ 最終まとめ」では、自動採点が可能な問題で構成すれば、結果を速やかに提供できることが示されています。 また、結果の早期提供は、教師の指導改善や児童生徒の学習改善につながる点で有益とされています。[1]
日々の小テストでも、回答から確認までの間隔を短くすれば、学習内容を覚えているうちに答え合わせを進められます。 テストメーカーでは、選択・穴埋め問題を回答後に自動採点し、生徒が正誤と正答を確認できます。 先生は提出された回答を一覧で確認し、必要に応じて個々の回答を開けるため、次の授業で何を確認するか考える材料にできます。
正誤に加えて、解き方を伝える
Van der Kleijら(2015)は、コンピュータ上の学習におけるフィードバックを扱った40研究のメタ分析で、説明を伴うフィードバックは、正誤だけを示す場合より大きい学習効果を示したと報告しています。[2]効果は学習内容や対象者などによって変わるため、正解を表示するだけで終わらせず、何を理解してほしいかに合わせて解説を用意することが大切です。
テストメーカーでは、問題に設定した解説を採点後に確認できます。 間違えやすい理由や解き方を添えることで、生徒が答え合わせから復習へ進む手がかりを用意できます。 既存の問題を取り込んだ後も、先生が正答・選択肢・解説を編集できるので、授業で扱った内容に合わせて調整できます。
紙とWebを使い分ける
人物名・用語・年号の確認や選択式の小テストは、オンライン化して自動採点を活用しやすい用途です。 一方、途中式を手書きで残す問題、図を描く課題、長い記述を評価する課題は、紙での実施や先生による採点を組み合わせる選択肢があります。 テストメーカーでも記述問題の採点は作成者が行います。問題の目的に応じて実施方法を選ぶことが大切です。
文部科学省の最終まとめは、紙の資材の受け取り・回収に代わって、端末やネットワークの確認作業が生じる点も指摘しています。[1]授業で使う端末と接続環境で回答できるかを確認し、まずは短い小テストで運用を確かめると、授業に合う使い方を検討しやすくなります。
読み取りと採点基準を事前に確認する
写真・PDFの取り込みでは、問題文・選択肢・正答を元の原稿と照合してから配布します。 特に図や表、紙面のレイアウトは完全には再現されないため、問題として成立しているかの確認が必要です。 原稿に正答がない場合はAIが推定するので、先生が内容を確かめて整えます。
穴埋め問題は、設定した正答との一致で採点します。 たとえば「1603」と「1603年」の両方を正解にしたい場合は、許容する表記を正答・別解として登録します。 取り込み後に一度回答してみると、生徒に見せる問題文、入力欄、採点結果まで確認でき、配布前の調整に役立ちます。
参考文献
- [1]文部科学省(2021)全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ 最終まとめ、採点・結果提供、学校現場における円滑な実施。
- [2]Van der Kleij, F. M., Feskens, R. C. W., & Eggen, T. J. H. M.(2015) Effects of Feedback in a Computer-Based Learning Environment on Students’ Learning Outcomes: A Meta-Analysis. Review of Educational Research, 85(4), 475–511.






